読書ログ:2023年7月~12月

2024.03.06 コラム, 読書ログ
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はじめに

読書ログシリーズは、私の半年間の書籍購入リストの中から、数冊ピックアップをしてご紹介するシリーズです。

今回も5冊だけピックアップしてみました。

  1. コンサル100年史
  2. 松本大の資本市場立国論―日本を復活させる2000兆円の使い方
  3. エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」
  4. 世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか
  5. ビジネスアスリートが実践する 最強のリカバリー術

では、以下、本題へ。

 
 

2023年 下半期書籍一覧

合計56冊

(スマートフォンだと一見分かりづらいのですが今回もスクロール表示になっています)

– VISION 夢を叶える逆算思考 / 三笘薫
– 生成AI 「ChatGPT」を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか? / 小林 雅一
– 北欧の照明: デザイン&ライトスケープ / 小泉 隆
– 降伏論 「できない自分」を受け入れる / 高森 勇旗
– キレイはこれでつくれます / MEGUMI
– 熟達論―人はいつまでも学び、成長できる― / 為末大
– 愛されなかった時どう生きるか 甘えと劣等感の心理学 PHP文庫 / 加藤 諦三
– 心の「とらわれ」にサヨナラする心理学 / エレン・ランガー
– いつも「話が浅い」人、なぜか「話が深い」人 (詩想社新書) / 齋藤孝
– 改訂版 金利を見れば投資はうまくいく / 堀井正孝
– 自然、文化、そして不平等 ―― 国際比較と歴史の視点から / トマ・ピケティ
– 2050年W杯 日本代表優勝プラン / 川端暁彦, 浅野賀一
– コンサル一〇〇年史 (ディスカヴァー・レボリューションズ) / 並木裕太
– 世界はなぜ地獄になるのか(小学館新書) / 橘玲
– じぶん時間を生きる TRANSITION (あさま社) / 佐宗邦威
– True North リーダーたちの羅針盤 / ビル ジョージ
– 自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体 (講談社現代新書) / 石井 暁
– 製造業DX(日経ムック) (日本経済新聞出版) / NTTデータ
– ニューズウィーク日本版 2/21号 特集いま知っておきたい核融合 / ニューズウィーク日本版編集部
– 夜明け前(が一番暗い) / 内田 樹
– 物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術 (幻冬舎単行本) / けんすう(古川健介)
– コミック版 逆説の日本史 古代黎明篇 / 井沢元彦, 千葉きよかず
– 人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方法 / アーサー・C・ブルックス, 木村 千里
– 社会的認知―現状と展望 / 唐沢 かおり
– 最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか / 大西康之
– 【カラー】コミック版 逆説の日本史 戦国三英傑編 / 井沢元彦, 千葉きよかず
– エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」 / 吉田 満梨, 中村 龍太
– ゴースト・ワーク / メアリー・L・グレイ, シッダールタ・スリ, 柴田裕之, 成田悠輔
– 美しい合気道 / 白川 竜次
– 塩田剛三の世界 / 剛三, 塩田
– 創始者たち──イーロン・マスク、ピーター・ティールと世界一のリスクテイカーたちの薄氷の伝説 / ジミー・ソニ, 櫻井 祐子
– 「今、ここ」に意識を集中する練習 心を強く、やわらかくする「マインドフルネス」入門 / ジャン・チョーズン・ベイズ, 高橋由紀子, 石川善樹
– トップの意思決定 / 齊木由香
– 松本大の資本市場立国論―日本を復活させる2000兆円の使い方 / 松本 大
– 人生は攻略できる (ポプラ新書) / 橘玲
– 世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか (日本経済新聞出版) / レイ・ダリオ, 斎藤聖美
– 巨大債務危機を理解する (日本経済新聞出版) / レイ・ダリオ, 伴百江
– おざわせんせい / 博報堂「おざわせんせい」編集委員会
– この国を蝕む「神話」解体 市民目線・テクノロジー否定・テロリストの物語化・反権力 / 佐々木俊尚
– 最高を超える / フランク・スルートマン, 福永 詩乃
– サプライウェブ 次世代の商流・物流プラットフォーム (日本経済新聞出版) / 小野塚征志
– 「経済成長」の起源: 豊かな国、停滞する国、貧しい国 / マーク・コヤマ
– 投資家をファンに変える「株主ケア」 / デービッド・スノーディ
– 村田昭治のマーケティング・ハート―学ぶことのたのしさ / 村田 昭治
– 幸せになる勇気 / 岸見 一郎, 古賀 史健
– 次なる100年―歴史の危機から学ぶこと / 水野 和夫
– 世界大異変―現実を直視し、どう行動するか / ジム・ロジャーズ, 花輪 陽子, アレックス・南レッドヘッド
– 執念の経営 (百億円企業を築いた(片目で両腕の無い経営者)の挑戦と壮絶な生き様) / 高江常男
– 嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA) / 小川 哲
– 最高のランニングのための科学 ケガしない走り方、歩き方 / マーク ククゼラ, 近藤 隆文
– ランニング革命 もっと速く、長く、ずっと怪我なく走るための方法 / ニコラス・ロマノフ, カート・ブランガード, 露久保 由美子
– なぜ理系に女性が少ないのか (幻冬舎新書 674) / 横山広美
– 文系と理系はなぜ分かれたのか (星海社新書) / 隠岐 さや香
– 訂正する力 (朝日新書) / 東 浩紀
– こども統計学 なぜ統計学が必要なのかがわかる本 こどもシリーズ / バウンド, 渡辺 美智子(監修)
– 超人のつくり方 / 竹下 雄真, 本間 龍介
– ビジネスアスリートが実践する 最強のリカバリー術 / 竹下 雄真, 本間 龍介

選書と軽く感想

1冊目:コンサル100年史

  • 著者:並木裕太
  • 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン(2015/1/29)

この著書が発刊されたのは2015年なので、9年前のものになります。

よって、DXが勃興しはじめた2018‐19年頃からのDXコンサルティングファーム勢(アクセンチュア社、ベイカレント社を代表とする)における考察は含まれていない。

とはいえ、ここまでコンサルティング業界を巨視的にまとめてくれている書籍を他には知らず、既知な部分はもちろんあるものの、既知な点と点がつながり、新たな整理につながるとても良書だと感じた。

というか著者の並木さんのリサーチ努力とまとめきった胆力が素晴らしい。

 
 
 

2冊目:松本大の資本市場立国論―日本を復活させる2000兆円の使い方

  • 著者:松本 大
  • 出版社:東洋経済新報社(2023/10/4)

代表取締役CEOの職を辞され、会長職について久しい松本大さん。

私も昔から松本さんのファンの1人だ。

この書籍は23年10月に発刊された新しいものだ。

最新の著書である本書も、いつもの松本さんらしく、論理が明快で文章も読みやすく、するする内容が入ってくる。

毎日ブログを書かれていたことでも有名な松本さんならではの文章力なのだろうか?
それとも校正される名パートナーが支えていたりするのだろうか?単にもともとのセンスなのか?

とにかく文章が優しくて読みやすい。

さて、本書のサマリーを一文にまとめると

日本経済(社会)の復興において、根本的には人口の問題を解決する必要があるが、仮に有用なアプローチが施されたとしても、効果を発揮するのは20年以上先であり、その期間、手をこまねいているわけにもいかない中で、有効な手段が存在する。それはGDPを上げることではなく、株式市場のさらなる活用であり、社会システムへの組み込みである。

という内容である。

そこだけぱっと読むと『聞き覚えあるなぁ』という感じなのだが、そこはマネックス証券創業者にして自称(他称?)株式オタクの松本さんならではの具体的な施策・アイデアが多く書かれている。

例えば、上場企業は全銘柄IFRS*にすべきなのだが、仮にそれができないならばIFRSIFASベースの決算数字を有価証券報告書の最初のページに1枚だけつけておくだけでも良い。

等々である。

投資としての株式市場ではなく、日本経済復興のエコシステムとしての株式市場の活用という目線で再度、株式市場がもつ潜在的な力を再認識するのにお勧めの1冊だと感じた。

*IFRS:国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)

 
 
 

3冊目:エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」

  • 著者:吉田 満梨, 中村 龍太
  • 出版社:ダイヤモンド社(2023/10/4)

私は、以前から、新しい事業の種や事業自体を立ち上げていく上での参考図書の一つに、サラス・サラスバシー『エフェクチュエーション : 市場創造の実効理論』を読んで見るのが良いのではないかというレコメンドをしていたことがあった。(私も先輩経営者にお勧めされたことから知った書籍である)

ただ、おそらく、この書籍を私から勧められて手に取った人はいるだろうが読んだ人はいないのではないかと勝手に思っている。(笑)

分厚いし、内容も少し学術的でとっつきにくい感じは否めない。

そんな中、エフェクチュエーション研究の日本人研究者として(恐らく)第一人者の著者が分かりやすくまとめたのが今回の書籍である。

エフェクチュエーションとはそもそも何か?
これは僕の解釈がだいぶ混じっているのだが少しだけ前提知識として以下に書く。

まず前提として、

答えのない世界でどう答えを紡ぎ出していくか。

みたいなことの重要性を言われて久しいわけだが、たいがいそのテーマへのアプローチは「企画」「イノベーション」「探索」みたいなカテゴリによるものだったと思う。

本書はそのテーマに対するアプローチとして、成功した起業家の振る舞いを類型させることで共通性を浮き彫りにし、説明力を持たせるという内容である。

対比語として、コーゼーション。
つまり、逆算型の思考・行動様式がある。

おそらく、この書籍を通じて、真剣に新規事業の探索や事業開発を常日頃からミッションにしている人からすれば。「ん?何が新しいの?」と思うのが健康的な反応だと思う。

私が考えるこのエフェクチュエーションの書籍が日本人によって読みやすい形でまとめられていることの価値は以下の3つだと思っている。

 
 

1つ目
この書籍を読んで「ん?まじで目新しさないぞ?」と思った人に対しては、あなたが思っている以上にその感覚は多くの人にとってあたりまえではなく、もし、あなたの行動が支援されたり、理解されたりしにくい場合はこの内容を周囲の人にも知ってもらうだけでだいぶ生きやすくなるよ。ということでお勧めである。
一言で言えば、探索の実践者の活用方法。
 

2つ目
この書籍を読んで「なるほどね~、確かに、こういう動きをしている人いたわ。てか、◯◯さんの行動も今おもうとこういうパターンだったののかもなぁ」という過去の経験と上手いこと接合することで、理解が深まるという価値がある。
一言で言えば、探索の実践者の近くにいる人の活用方法。
 

3つ目
この書籍を読んで「なるほどね~自分もこうありたいなぁ」と思う人もいると思う。その人にとっては、優れた起業家が事後的に語る事業の戦略性やビジョンを過大評価するという、幻想を解くことに効果を発揮すると思う。この効能は思いの外大きい。
 

ざっくり思いつくものだとこんな感じだろうか。

ということで、エフェクチュエーションというキーワードを知るだけでも悪くはないと思うので、このキーワード自体は初耳の人は、書籍を手にとらなくても、ちょっと検索してみるだけでも面白いかもしれません。

 
 
 

4冊目:世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか

  • 著者:レイ・ダリオ
  • 出版社:日経BP 日本経済新聞出版(2023/9/23)

一言で言うと「凄まじい、、」

さすがレイ・ダリオというか、レイ・ダリオのチームというか。

そもそも、まだ著者が現役にしてこれだけの論考にまとめきる知力と完遂する姿勢が本当に凄まじいと思う。(本業に密接に関わっているので仕事の中で取り組んだものなのかもしれんが)

本著をものすごく簡単にまとめると、

政治制度、経済制度、貨幣、帝国などが永遠に存続することはなく、世界の秩序は一見無秩序の中でバランスをとっているように見えるが、超長期で観察すると、一定のサイクルの中で構築され、ステップとしては以下であると主張している。

  • 平和な繁栄の時期から始まり
  • 経済拡大
  • 金融危機
  • 格差拡大
  • 権力争い
  • ポピュリズム拡散
  • 不況
  • 革命
  • 戦争

このステップを経て新しい制度へ移行するというのが著者の考察であり、本書では「原則」とされている。

(※レイ・ダリオはなにかにつけてこの『原則(Principle)』という言葉を大切にする)

これだけ見るとなんのこっちゃと思うかもしれないが、

もう少し噛み砕くと、世界秩序の変化は、創造性と生産性に溢れる平和な繁栄の時期から始まり、信用による経済の拡大、金融危機、格差の拡大、権力争い、ポピュリズムの拡散、そして不況・革命・戦争というサイクルを経て、新たな通貨、経済、政治制度の確立へと移行するという話であり、膨大なデータを基にまとめきっている。

そして、このサイクルの基、現代を通観し、米国の衰退期と中国の政治経済。そして、米中関係の問題にも具体的に触れ、今後の生末を『断言』しているのがまたとても興味深い。

ページ数は多く、かなり分厚いのだが、読みやすい構成にまとめられているのも彼の著書の特徴である。

さすがにちょっととっつき難い人は、レイ・ダリオのYouTube公式チャンネルでとてもわかり易くまとめられているのでそこから触ってみるのが良いかもしれない。

株式投資や金融業界に興味がある人も無い人も、機会があれば一読してみると、超長期のポジションの取り方に何かしら示唆を得られるかもしれない。

 
 
 

5冊目:ビジネスアスリートが実践する 最強のリカバリー術

  • 著者:竹下 雄真
  • 出版社:光文社(2018/11/20)

コンディショニング系の書籍で個人的にはヒット作だったので1冊ご紹介を。

コンディショニング系の情報は日進月歩で更新されるし、流行り廃りも少なくないジャンルである。タイトル釣りも珍しくない。

本書も2018年の出版なのが少し心配に思われるかもしれない。
書籍のタイトルも2015-2018年あたりに流行った感じのものなのが一見気になるところでもある。が、内容は個人的にはとてもドンピシャという感じで、ちょうど今求めている内容が整理されていたので、お勧め書籍の1冊に。

 
 

そもそも大前提として、個人的な考えを最初に書いてみると、

==

コンディショニングは、基本的には『体内の炎症』とどう向き合うか。

当然、そもそもの個体差もあるし、生活習慣の違いもある。

それらの手持ちのカードの中で、いかに炎症を抑えながら、コンディショニングを保つか、または向上させるか。

理想とする『程度』は、本人の目的による。

以上。

==

つまらなく書いてしまうとそういうことなのだと現時点では理解をしている。

では、そんな理解の中でなぜ本書がお勧めなのか?

本書の内容が主にビジネスマンのコンディショニングに適していると感じたからである。

頻出するキーワードとしては、

  • 副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)
  • 解毒
  • グルテン
  • カゼイン
  • カフェイン
  • コルチゾール
  • ミトコンドリア

等々である。

これらがバラバラの概念の解説だけではなく、ビジネスマンのコンディショニングという目的にアラインした形で整理されているのが非常に読みやすかった。

(特に副腎疲労はあまり聞き覚えがないのではないだろうか。このことだけでも知れる価値は大きい。)

どうも体調悪いなぁ〜、運動も睡眠もある程度巷で言われてることは意識してるんだけどなぁ〜サプリとかも飲んでるしなぁ〜他に何があるってんだろう・・・。

という方はぜひ手にとって見ると良いかもしれない。

例えば食事1つとっても、身体を良くするためについつい「足す」行為をしたくなるのだが「引く」ことから始めることの重要性について書かれている。

その話まで含めて、別に知っている内容だったとしよう。

では、「何のために何を引くのか?」そこにも明確に答えられるだろうか?それに答えられる人は手に取る必要はなく、今の日常の中で健やかに過ごせるにこしたことはない。

そのあたりの整理が曖昧な方はこの本で手に入れてることをお勧めしたい。

 
 
 

最後に

ということで、今回は上記5冊でした。

興味を持った人は是非手に取ってみて下さい!

さて、今回の半年間で購入&触れた書籍は50冊程度でした。
上半期が110冊程度だったので約半分ですね。

以前までは半年に1度読書ログを書くために整理すると「え、そんな買ってた!?」と自分が一番驚くような感じだったのですが、半年間で50冊くらいとすると、個人的には、ようやく体感値の範囲になってきたような感覚です。

年々、1冊丸っと読み切る書籍は減っている感覚があります。

今は、人から直接薦められた書籍+数冊くらいといった感じでしょうか。

そんな中、読書にまつわるところで、2024年は個人的にちょっと新しい挑戦をするので、読書ログが今までのようなフォーマットで出せない可能性があるのですが、そのあたりの理由も含めて、また別の機会に触れていきたいと思います。

では、みなさん良い読書生活を!!

 
 

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