読書ログ:2020年1月~6月【後編】

2020.09.09 読書ログ
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はじめに

ということで、前回の【前編】に続いて後編です。
今回は、5冊の紹介中、残りの3冊になります。

 
では、早速本題にいきましょう。
 
 
2020年上半期書籍一覧(再掲)

合計181冊

(スマートフォンだと一見分かりづらいのですが今回もスクロール表示になっています)

– 極上の死生観 60歳からの「生きるヒント」 (NHK出版新書) / 齋藤 孝
– 無思想の発見 (ちくま新書) / 養老 孟司
– 読書は格闘技 (集英社) / 瀧本 哲史
– 君に友だちはいらない / 瀧本 哲史
– 武器としての交渉思考 (星海社新書) / 瀧本 哲史
– データレバレッジ経営 デジタルトランスフォーメーションの現実解 / ベイカレント・コンサルティング
– IT負債 基幹系システム「2025年の崖」を飛び越えろ / 室脇 慶彦
– 実践・快老生活 知的で幸福な生活へのレポート (PHP新書) / 渡部 昇一
– 好きな人と「だけ」生きていく / 永松 茂久
– 人に頼む技術コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学 / ハイディ・グラント, 児島修
– 世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド / 八木 仁平
– 人は話し方が9割 / 永松 茂久
– 結局、すべてを手に入れる「すぐやる!」ノート / 藤由 達藏
– 結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる / 藤由 達藏
– 世界のミシュラン三ツ星レストランをほぼほぼ食べ尽くした男の過剰なグルメ紀行 (ワニの本) / 藤山 純二郎
– ミシュラン 三つ星と世界戦略(新潮選書) / 国末 憲人
– キングダム 58 (ヤングジャンプコミックス) / 原 泰久
– 歳を取るのも悪くない (中公新書ラクレ) / 養老 孟司, 小島 慶子
– 中高年がキレる理由 (平凡社新書806) / 榎本 博明
– 薄っぺらいのに自信満々な人 (日本経済新聞出版) / 榎本 博明
– 旅する建築家 隈研吾の魅力 / 田實 碧
– 「やさしさ」という技術――賢い利己主義者になるための7講 / ステファン・アインホルン, 池上 明子
– 自分探しと楽しさについて (集英社新書) / 森 博嗣
– 面白いとは何か? 面白く生きるには? (ワニブックスPLUS新書) / 森 博嗣
– 「自分」の壁(新潮新書) / 養老 孟司
– 文系の壁 理系の対話で人間社会をとらえ直す (PHP新書) / 養老 孟司
– 高いワイン――知っておくと一目置かれる 教養としての一流ワイン / 渡辺 順子
– 理想のパートナーを見つけるためにしておきたい17のこと (だいわ文庫) / 本田 健
– 読まない力 (PHP新書) / 養老 孟司
– 養老孟司の人生論 / 養老 孟司
– 遺言。(新潮新書) / 養老 孟司
– 起業するより会社は買いなさい サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ (講談社+α新書) / 高橋 聡
– 女と男 なぜわかりあえないのか (文春新書) / 橘 玲
– 結婚生活を成功させる七つの原則 / ジョン・M・ゴットマン
– ビジネスエリートになるための 教養としての投資 / 奥野 一成
– 日本型リア充の研究 / 古谷 経衡
– 在宅HACKS!―自分史上最高のアウトプットを可能にする新しい働き方 / 小山 龍介
– 考える雑学 (だいわ文庫) / 曽根 翔太
– 伝説のクイズ王も驚いた予想を超えてくる雑学の本 (王様文庫) / 西沢 泰生
– 世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学 (NewsPicksパブリッシング) / 近内 悠太
– 今夜使えるワインの小ネタ 知ればおいしい! / 葉山 考太郎
– 世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン / 渡辺 順子
– 芸能界のグルメ王が世界に薦める! 東京 最強の100皿 (文春e-book) / 渡部 建
– アンジャッシュ渡部の 大人のための「いい店」選び方の極意 (SB新書) / 渡部 建
– コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える (文春e-book) / 冨山 和彦
– 生涯現役の知的生活術 (扶桑社BOOKS) / 渡部 昇一, 千 玄室, 東城 百合子, 三浦 朱門
– 月刊WiLL (ウィル)2017年7月号増刊 歴史通 追悼「知の巨人」渡部昇一 まるごと一冊 永久保存版
– 人類なら知っておきたい 地球の雑学 (中経の文庫) / 雑学総研
– Black Box (文春e-book) / 伊藤 詩織
– 突然、僕は殺人犯にされた / スマイリーキクチ
– ジャパネットの経営 東大卒2代目の僕がカリスマ社長の後を継ぎ大事にしてきたこと / 髙田 旭人
– 邦人奪還―自衛隊特殊部隊が動くとき― / 伊藤 祐靖
– 『鈴木敏文の経営言行録』すべての経営者に“気づき”と“感動”を与える / 鈴木 敏文
– [新装版]貞観政要 (上に立つ者の心得) / 谷沢 永一・渡部 昇一
– 女帝 小池百合子 (文春e-book) / 石井 妙子
– 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください! / 山崎元, 大橋弘祐
– 魂は、あるか?~「死ぬこと」についての考察~ (扶桑社BOOKS新書) / 渡部 昇一
– 日本人ならこう考える 日本と世界の文明放談 / 養老 孟司, 渡部 昇一
– 還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方 (講談社現代新書) / 出口 治明
– 人間 この未知なるもの (知的生きかた文庫) / アレキシス カレル
– 明朗であれ 父、渡部昇一が遺した教え / 渡部 玄一
– 名著で読む世界史 (扶桑社BOOKS) / 渡部 昇一
– 音楽のある知的生活 (PHPエル新書) / 渡部 昇一, 渡部 玄一
– 知的余生の方法(新潮新書) / 渡部 昇一
– 知的生活の方法 (講談社現代新書) / 渡部 昇一
– いちばんかっこいい筋肉のつけ方 やりすぎない筋トレ 食べていい時間は1日8時間 / けーすけ
– 強運 ピンチをチャンスに変える実践法 / 元谷 芙美子
– 40代にしておきたい17のこと (だいわ文庫) / 本田 健
– コミュニティをつくって、自由に生きるという提案 (きずな出版) / マツダ ミヒロ
– 後悔せずにからっぽで死ね / トッド ヘンリー, 上原 裕美子
– ブスのマーケティング戦略 / 税理士・田村 麻美
– かつてないほどハードルが低い マンガでわかる皮膚科学 / 吉木 竜太郎
– 漫画でわかった!日本はこれからどうするべきか? (かや書房) / 高橋 洋一
– 「週刊文春」編集長の仕事術 / 新谷 学
– 寝てもとれない疲れをとる本 / 中根 一
– ポスト・コロナ「新しい世界」の教科書 / 髙橋 洋一, 渡邉 哲也
– 1人デベロッパーの勝ちパターンに学べ! 弁護士が実践する不動産投資最強戦略 / 堀 鉄平
– 臆病者のための裁判入門 / 橘 玲
– 媚びない人生 / ジョン・キム
– 真夜中の幸福論 / ジョン・キム
– 孫正義 事業家の精神 / 井上篤夫
– 孫正義の参謀―ソフトバンク社長室長3000日 / 嶋 聡
– タバタ式トレーニング (SPA!BOOKS) / 田畑 泉
– 医者が教えるサウナの教科書――ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか? / 加藤 容崇
– マインドセット:「やればできる!」の研究 / キャロル・S・ドゥエック, 今西 康子
– 善の研究 ─まんがで読破─ / Teamバンミカス, 西田幾多郎
– 職業としての学問・政治 ─まんがで読破─ / マックス・ウェーバー, バラエティ・アートワークス
– 読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫) / バイヤール,ピエール
– 積読こそが完全な読書術である / 永田 希
– シャーロック・ホームズ 緋色の研究 ─まんがで読破─ / コナン・ドイル, Team バンミカス
– 日本国憲法 ─まんがで読破─ / バラエティ・アートワークス
– 六韜 / 太公望, 青木健生, 山本幸男, MICHECOMPANY合同会社
– 三略 / 太公望, 堀江一郎, 十常アキ
– NHK「100分de名著」ブックス 鴨長明 方丈記 / 小林 一彦
– ナポレオン言行録 ─まんがで読破─ / バラエティ・アートワークス
– ソクラテスの弁明 ─まんがで読破─ / プラトン, バラエティ・アートワークス
– 人間的な、あまりに人間的な ─まんがで読破─ / ニーチェ, バラエティ・アートワークス
– 幸福論 ─まんがで読破─ / アラン, バラエティ・アートワークス
– 恋愛と贅沢と資本主義 / ゾンバルト, Teamバンミカス, 名波優太
– プラグマティズム / ジェームズ, 岩下博美
– 精神分析入門・夢判断 ─まんがで読破─ / フロイト, バラエティ・アートワークス
– レシピを見ないで作れるようになりましょう。 / 有元 葉子
– 最後の恋愛論 (角川文庫) / 柴門 ふみ, 秋元 康
– 男の気持ちがわからない君へ (講談社+α文庫) / 秋元康
– さよならにもルールがある (角川文庫) / 秋元 康, 柴門 ふみ
– ファウスト ─まんがで読破─ / ゲーテ, バラエティ・アートワークス
– 経済は「競争」では繁栄しない / ポール J ザック, 柴田 裕之
– 夫のトリセツ (講談社+α新書) / 黒川 伊保子
– ゲーテとの対話(完全版) / ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ, エッカーマン, 上妻純一郎, 亀尾英四郎
– 自殺について / ショーペンハウアー, 伊佐義勇
– 妻のトリセツ (講談社+α新書) / 黒川 伊保子
– ゲーテとの対話 ─まんがで読破─ / エッカーマン, バラエティ・アートワークス
– コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画 (文春e-book) / 冨山 和彦
– 時間に支配されない人生 / ジョン・キム
– 「ミライの兆し」の見つけ方 / 御立 尚資
– コーヒーは楽しい! / チュング‐レング トラン セバスチャン・ラシヌー
– コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス) / 旦部 幸博
– 自己信頼[新訳] / ラルフ・ウォルドー・エマソン
– 徹底的に数字で考える。 / 深沢真太郎
– 起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡 (文春e-book) / 児玉 博
– 【数量限定】経済で読み解く日本史 文庫版5巻セット ①室町・戦国時代 / 上念 司
– 【数量限定】経済で読み解く日本史 文庫版5巻セット ②安土桃山時代 / 上念 司
– 【数量限定】経済で読み解く日本史 文庫版5巻セット ③江戸時代 / 上念 司
– 【数量限定】経済で読み解く日本史 文庫版5巻セット ④明治時代 / 上念 司
– 【数量限定】経済で読み解く日本史 文庫版5巻セット ⑤大正・昭和時代 / 上念 司
– 経済で読み解く日本史 江戸時代 / 上念司
– キングダム 56 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) / 原 泰久
– ゼロからはじめる力 空想を現実化する僕らの方法 (SB新書) / 堀江 貴文, 小山 宙哉
– バキ道 5 (少年チャンピオン・コミックス) / 板垣 恵介
– わが人生記―青春・政治・野球・大病 (中公新書ラクレ) / 渡邉 恒雄
– インフルエンザ なぜ毎年流行するのか (ベスト新書) / 岩田健太郎
– 感染症の世界史 (角川ソフィア文庫) / 石 弘之
– ビジュアル パンデミック・マップ 伝染病の起源・拡大・根絶の歴史 / サンドラ・ヘンペル
– 日本企業の勝算―人材確保×生産性×企業成長 / デービッド・アトキンソン
– キングダム 57 (ヤングジャンプコミックス) / 原 泰久
– 死はこわくない (文春文庫) / 立花 隆
– 元FBI捜査官が教える「心を支配する」方法 / ジャック・シェーファー, マーヴィン・カーリンズ, 栗木さつき
– ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)―GAFA時代の人生戦略 / スコット・ギャロウェイ, 渡会 圭子
– 自己矛盾劇場 ―「知ってる・見えてる・正しいつもり」を考察する / 細谷 功
– 知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと (文春新書) / 立花 隆
– 潜入ルポ amazon帝国 / 横田 増生
– 声に出して読みたい日本語 / 斎藤 孝
– ブリッツスケーリング / リード・ホフマン,クリス・イェ, ビル・ゲイツ
– ヤンキー化する日本 (角川oneテーマ21) / 斎藤 環
– 世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析 (角川文庫) / 斎藤 環
– 世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方 / 大塚 篤司
– 遅いインターネット (NewsPicks Book) / 宇野常寛
– How Finance Works ハーバード・ビジネス・スクール ファイナンス講座 / ミヒル・A・デサイ, 斎藤 聖美
– 強者の流儀 / 朝倉 未来
– 私たちの人生の目的は終わりなき成長である / 千田琢哉
– アルゴリズム フェアネス もっと自由に生きるために、ぼくたちが知るべきこと / 尾原 和啓
– 無形資産が経済を支配する: 資本のない資本主義の正体 / Haskel,Jonathan
– われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか 進化心理学で読み解く、人類の驚くべき戦略 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
– ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語 / 立川 談慶
– はじめての構造主義 (講談社現代新書) / 橋爪 大三郎
– カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略 / 鈴木 貴博
– ブラックストーン / デビッド・キャリー ジョン・E・モリス
– 三体 / 劉 慈欣
– D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略 (NewsPicksパブリッシング) / 佐々木 康裕
– 座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」 (角川新書) / 出口 治明
– 貞観政要 (ちくま学芸文庫) / 呉 兢, 守屋 洋
– 取締役会の仕事 先頭に立つとき、協力するとき、沈黙すべきとき / ラム チャラン;デニス ケアリー;マイケル ユシーム, 川添 節子
– 弁護士が実践する 不動産投資の法的知識・戦略とリスクマネジメント / 堀 鉄平
– 役員報酬・指名戦略 (日本経済新聞出版) / 村中 靖, 淺井 優
– 内向型人間のための人生戦略大全 / シルビア・レーケン, 岡本 朋子
– MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論 (角川新書) / 島倉 原
– サバイバル登山入門 / 服部文祥
– 明るい暗箱 (クラシックカメラ選書) / 荒川 龍彦
– 朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論 (朝日新書) / 橘 玲
– 決定版 これがガバナンス経営だ!―ストーリーで学ぶ企業統治のリアル / 冨山 和彦, 澤 陽男
– ESG経営を強くする コーポレートガバナンスの実践 / 松田 千恵子
– ZUCCA×ZUCA(2) (モーニングコミックス) / はるな 檸檬
– ヅカメン! / 宮津大蔵
– ZUCCA×ZUCA(1) (モーニングコミックス) / はるな 檸檬
– 科学者が解く「老人」のウソ / 武田邦彦
– タカラヅカ流日本史 / 中本 千晶, 牧 彩子
– 日本一売り上げるキャバ嬢の 億稼ぐ技術【電子特典付】 / 小川 えり
– タカラヅカの謎 300万人を魅了する歌劇団の真実 (朝日新書) / 森下 信雄
– ホリエモンの宇宙論 / 堀江貴文
– 世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事 / 津川 友介
– 人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか? / 本田 直之, 松尾 大

 
 
 
選書と軽く感想

3冊目:読んでいない本について堂々と語る方法

  • 著者 :ピエール・バイヤール
  • 出版社:筑摩書房 (2016/10/6)

まずタイトルが面白いですよね?
そして、とても面白いテクニックが書いてありそうですよね?

著者のピエール・バイヤールさんは、パリ第八大学教授で、精神分析家であり『創造的批評論』を展開されている方です。

したがって、タイトルの軽い感じに反して、内容は極めて太い論理に導かれた「読んだ」「読んでない」とは何か、読書コンプレックスとか教養コンプレックスってよくよく考えてみると間が抜けた話ではないだろうか、みたいな話です。

具体的には本文にはこんなことが書いてあります。
 

  • 未読には4段階ある。
  • (1) 全然読んだことのない本
    (2) ざっと読んだことがある本
    (3) 人から聞いたことがある本
    (4) 読んだことはあるが忘れてしまった本

  • それぞれの段階における解釈。
  • エリート・知識人と言われる人間は、なぜ読んだ書籍を我が物顔で誇るのか?
  • 一方で、読んだことのない書籍の数の方が圧倒的に多いことに対してはなぜ恥じないのか?
  • 本を読んでいない人はそのこと自体はなぜ恥じる傾向があるのか?
  • そもそも、現代人にとって、いちいち丁寧に本を読む時間などどこにあるというか?
  • だからといって本は有益ではないと言えるのか?
  •  

    みたいなことに対して、一家言持つことができる書籍ですね。
    「本を読む」ということに対しての姿勢に刺激を入れたい人にとってオススメだと思います。

    この書籍のタイトルに対してのテーゼではないですが、
    この書籍自体を全く読まずに、周囲の人に何を言えるか?みたいなことにトライしてみるのも面白いかもしれませんね。
    (付き合わされる人は堪ったものではないと思いますが)

     
    かくいう私自身も、果たして本当にこの書籍を読んだのか否か・・・。
     
     
     

    4冊目:孫正義の参謀―ソフトバンク社長室長3000日

    • 著者 :嶋 聡
    • 出版社:東洋経済新報社 (2015/1/9)

    周知の通り、ソフトバンク関連の書籍はポップなものからディープなものまで幅広く出版されていますが、
    本書はソフトバンク内部かつ孫正義氏の最寄りで働いていた著者による、440ページにも渡る分厚い「現場レポート」のような内容であり、間違いなくディープ寄りの書籍です。

    当時の関係者達の会話から緊張感まで、息遣いが伝わるような文章であり、まるで「小説」を読んでいるような錯覚になる書籍とも言えます。
    (時間軸としては、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の設立より前まで)

    本書が特に面白いのは、著者のバックグラウンド(政治家出身)と、当時の社長室 室長としての裏ミッションである「やんちゃなソフトバンクから、大人のソフトバンクへ」という特性から、ソフトバンクの「外交」の裏話がこれでもかというほど非常に細かく記載されている点です。
     

    その一部を簡単に。
     

  • 「じゃあオバマ大統領にも一度お会いしておいた方が良いだろうね」「エリック・シュミットがいつでも紹介するよって言ってたよ」みたいな話がバンバン出てくる。
  • 孫さんがアメリカでロビー活動する時の会話の型が確立されていて、必ずアメリカ政府高官は引き込まれていたらしい。(生い立ち→日本での苦労話→単身渡米→日本で成功→第二の故郷アメリカへの恩返し)
  • スプリント買収は、仮にディールブレイクしても、4,000億円近い利益が出る想定になっていた。
  • (執筆当時)日本経済史上3社しかいない、営業利益1兆円企業への道。
  •  

    どうでしょうか?
    すでに面白いですよね。

    上記のような話に興味のアンテナが動いた人は、ぜひ一読してみると良いでしょう。
     

    私個人としては、自身のキャリアではなかなか具体的な想像がつき難い「ロビー活動」について、理解度をあげる上でも良い参考書であったように思います。
     

    これは孫さんの書籍に共通していることですが、この書籍もご多分に漏れず、とにかく話のスケールが大きい。
    規模・関係者・会話の内容・時間軸…どれをとっても、一経営者として、刺激を受けざるを得ない内容になっています。

    他方、これも、この書籍に限らないのですが、
    孫さん関連の書籍を「血中アントレプレナー濃度」の高い人材が読む際の注意事項として、
    強い刺激の反動で「自分はなんて小さいんだ。。」「こんなことちまちまやっててもラチがあかない。。」という発想にジャンプしてしまうことに注意しなければいけないと思っています。

    それは真に勇敢なのではなく、ヒロイックになっているのだということです。
    つまり、勇敢という皮を被ったただの無謀です。

    刺激というのは適切な箇所に与えなければ有害なわけであり、鍼灸における針も良いツボに刺すから意味があるのだと思います。

    孫正義という針をどのツボにいつ刺すのか?

    そこに注意することを前提に、読んでみると面白いのではないでしょうか。

    私自身もくどいくらいそう言い聞かせないと心が踊ってしまうので、抑えるのが大変です。

    子供の頃から20年くらい孫さんによる刺激を受けては、それを抑えてきたのですが、最近はうまく付き合えるようになってきました。
     
     
     

    5冊目:科学者が解く「老人」のウソ

    • 著者 :武田 邦彦
    • 出版社:産経新聞出版 (2018/4/4)

    2020年の1月〜6月の期間は「死生観」に興味が生まれ、関連する書籍をいくつか読んでいた中で、派生に派生を重ねて出会ったのがこの書籍でした。なぜ興味が生まれたのかは本投稿の『最後に』の章で触れます。

    TVに良く出ている?炎上も多い?著者とのことですが、おそらく科学者然としたその姿勢が物議を醸すということなのでしょうか?
    私はTVは録画したものしか見ないですし、著者やその周辺に起こる炎上のことには全く詳しくないのですが、そのあたりの話は一旦棚に上げて、あくまでもこの書籍に関しての感想に終始したいと思います。
     

    非常に分かりやすく、年齢を重ねる(老いていく)ことのネガティブさを排除してくれる書籍です。
    年齢を重ねる(老いていく)ことが不安な人は、1度読んでみても良いかもしれません。

    「老人」という概念について抽象的な解釈が多い書籍ならば、
    やはり、35歳になった今の自分が読むにはあまりにも距離感があり、読んでも学び難いものなのだと思うのですが、科学者が書いた「老人論」はデータも多く、この著者独特の痛快さも相まって「理解がしやすい」と感じたというわけです。

    本書では、以下のように大きく5つに章立てて「ウソ」が書かれてます。

    1. 老後のウソ
    2. 寿命のウソ
    3. 老化のウソ
    4. 病のウソ
    5. 定年のウソ

    それらをすべてまとめて、大雑把に要約すると、

    「55歳以降を老後とするのではなく、第1の人生と第2の人生に分けて、それぞれゲームルールが根本的に異なっていると捉えて生活すると、相当色々な問題が処理できるし、幸福度の高い人生を長きに渡って過ごせますよ。そもそも人間の年齢が地続きだと思っているから変なことになりますよ」

    みたいな内容です。

    それはどういう意味なのか?具体的にはどんなゲームルールだと捉えると良いのか?が書いてあります。
    誤解を恐れずに言えば、本当にそれだけといえばそれだけの本です。

    とはいえ、具体的な箇所をいくつか挙げると、

  • 老後という言葉は戦後に出てきた。当時の平均寿命から50-55歳以降が老後になったというのが根深く残っている。
  • 根深く残っている「老後」「老人」の概念が日常の会話の中に混ざってくることで、精神的に与える悪影響が本当に老人にさせている。
  • 高血圧で死ぬというデータのトリック。
  • 3人に1人の死亡理由であるガンも怖くない。
  • という感じの内容ですね。

    科学者として提示しているファクト+著者の主観混じりの提案という感じです。
    だいたい、30分くらいで読めると思います。
     

    自分がなかなか当事者にはなりにくいが、少し学んでみたいと思った領域に対しては、ファクトを中心にまとめてくれている書籍の方が入ってきやすいなぁと思いました。

    本当は、養老孟司さんの『遺言。』もピックアップしたかったのですが、この期間中の私にとってはかなり読み応えがあり、みるみる時間が溶けてしまうので一旦停止させました。

    そういうものと比べると本当にサクッと読めるので、このような書籍から入るのは、忙しいビジネスマンにとって新しいジャンルに触手を伸ばすコツのようなものなのかもしれません。
     
     
     

    最後に

    リストを振り返って見えた特徴は、

    著者軸での特徴として、

    • 養老 孟司 7冊

    養老孟司さんが非常に多かった期間でした。
     

    テーマ軸での特徴としては、

    • 起業家・経営者
    • 死生観
    • まんがで読破シリーズ

    この3つのテーマが多かった期間でした。

    自分の中で認識している限り、なぜこんな特徴になったのかについて自覚はなかったのですが、
    結果がこうなっているので、自分なりに簡単に振り返ろうと思います。
     
     
    特に後者の、テーマ軸での特徴である3つについて軽く触れます。

    『起業家・経営者』に関しては、常日頃から興味は強いのですが、
    特にこの2020年1~6月の間は、経営するSpeeeがIPO準備期の大詰めだったためか、
    私個人としても、起業家・経営者による血の湧くような話を身体が欲していたのでしょうか?無性に読みたくなっていたように思います。
    私にとってはサプリメントみたいなものなので、コンディションによって定期的に摂取すると調子が良いのです。
     
     

    続いて、『死生観』に関してですが、
    おそらく興味を持った理由は、猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)が無意識下で私に影響を与えていたからではないかと推測します。
    そういう方って多くいらっしゃるのですかね?私だけの特徴だったのでしょうか??

    もう少し正確に言うと、新型コロナウイルスの環境下で、ウイルスや病気やパンデミックの歴史みたいな書籍も結構読んだので、そこからの影響というのが正確かもしれません。

    少なくとも、興味を持った起点は定かではなく、憶測の範囲を超えないのですが、そういうところだったのかなぁと。
    ただし、起点はともかく「自分の人生の密度を上げるためにもっと考えておくべきことはないだろうか?」という問いが自分の中でふつふつと湧き出てきたのは、間違いなく感じていました。

    時間の密度を上げる方法を様々な角度から検討をしていたのですが、その中で人生の終わらせ方にもう少し踏み込んでみることで、終わり方の解像度を上げる。
    それによって、生きている時間の価値実感を相対的に上げる。

    つまり、時間を圧縮して密度を高められないかと考えるようになりました。

    人生の充実、言い換えるならば、時間対充実感。
    それは、死生観を身につけることで高めていけるのではないか?という考えに至ったということです。

    (意味伝わりますでしょうか・・・)
     

    死生観を深掘るアプローチの中で、
    日本人で「死」に詳しく、論客でもある方が良いなぁと思うに至り、
    解剖学者でもあり、数多くの著書を出されている養老孟司さんの書籍群に目を向けることになりました。

    そして、養老孟司さんを起点に、さまざまな書籍に派生をしていったという流れでした。

    「人生を充実した時間にしたい」「人生は残り何日だ」みたいな話になると、すぐにタイムマネジメントの重要性みたいな話に展開していくことになるのですが、
    タイムマネジメントがどうのこうのって話は、すぐに使える非常に有効的なスキルかつ効能もとても高いものである一方で、論理の中身としてはあまり奥行きが無いと思っていたので、今回はそういう水準ではない領域での時間の密度を上げる考え方を探していたという経緯がありました。

    そこからの『死生観』だったということです。
     
     

    また、3つ目に挙げている『まんがで読破シリーズ』についてですが、
    京都学派の創始者であり、日本を代表する哲学者でもある、西田幾多郎氏を学ぼうと思っていたタイミングで、たまたま目についたのが『まんがで読書シリーズ』でした。

    触れ難いテーマのものに軽く触れてみる際に、まんがって本当にありがたいです。

    「きっと細かな正確性は欠いているんだろうなぁ〜」とは思いながらも、アウトラインを理解するまでのコスパの良さにハマってしまい、このシリーズの著書をほとんど購入、リモートワークのランチ時間などに2、3冊ぱーっと読めてとても有意義でした。

    どうもこの半年は、軽いタッチで読めるものと自分の頭との相性がとても良かった感覚があります。

    総じて思うのは、
    新型コロナウイルスの発生や、その環境下での経営、そして上場準備など、比較的ハードな日々がこの期間における私の知的探求のテーマにも影響を与えたようです。

    そんな新型コロナウイルスもだいぶファクトが揃ってきたかなぁという所感を持っておりますが、皆さん引き続き体調には十分気をつけてください。
     
     
    ということで、今回はこれで締めたいと思います。

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